房総を自転車で走った感覚につながる自転車の話

自転車あれこれ思いつくまま
文明開化の贅沢な乗り物だった
自転車は1870年頃に、日本に輸入されています。前輪にペダルをつけた二輪車です。明治時代が始まった頃で、いろいろな先進諸国の物や仕組みのために、日本語が造られていきました。自転車もその一つです。フランス語、イギリス語、イタリア語などからの翻訳だったら二輪車となっています。ところが、そのあと製造技術が急速に進歩したからかどうか、部品の名前は、ほとんどがカタカナに置き換えです。
ふつうの自転車のチューブに、ムシと言う細いゴムのパイプが使われています。虫のムシのはずです。日本の自転車工場でつけられた、名前なのでしょうか。想像をたくましくしてみると、ムシはwormの翻訳だと思えてきます。英語だとミミズとか足のないムシ、さらには魚釣りの餌と言う意味もあるのです。イギリスの自転車工場で、技術者の間で使われていたwormが、日本語のムシになったのかもしれません。
いまから100年少し前には、自転車の小売店はなかなかに儲かっていたらしいのです。それでも、組み立てから修理までしっかり身につけていなければなりません。自転車そのものが値段が高く、誰にでも買えたわけではなかったのです。タイヤがぺしゃんこになった自転車を持ち込まれても、修理のため一日あずかっておきます。ムシが破れていたとしても、パンク修理にすれば利益はぐんと大きくなったはずです。
黙認されていたわけではないでしょう。でも、自転車の持ち主は昔は金持ち階級と言われていたので、自転車は乗るものであって、機械技術のことや修理代金はどうでも良かったわけです。いまでは、ほんとうの故障の原因をはっきりさせて修理するのでなければ、小売店は信用をなくしてしまいます。乗るほうは機械技術に詳しいかどうかではなく、専門の技術者に修理を任せておけばいつも安全に乗れるのです。

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