房総を自転車で走った感覚につながる自転車の話

自転車あれこれ思いつくまま
ペダルは漕ぐのか踏むのか
自転車を漕ぐ、といわれることがあります。ペダルを踏んで、乗っている自転車を走らせることです。また、ペダルを動かすことも、漕ぐといいます。昔のことではありません。自転車のカタログに、漕ぐと書かれていました。自転車からも、ペダルの動きからも、和船の櫓(ろ)や櫂(かい)を想像することはできないように思われます。櫓も櫂も、手で動かす道具です。乗り手も、漕いでいるようには見えません。
ペダルを上下させるときの足の動きが、櫓か櫂の動きと似ているというのはちょっと難しい表現になります。自転車が初めて輸入されて、その自転車に乗った人は、何にも言えなかったのかもしれません。まっすぐに走れなくて、右に左にぐきぐき揺れながら、やっとの思いだったのではないでしょうか。見ていた誰かが、舟漕いでるみたいだ、なんてことを言ったのだとしたら、少し愉快になるのではあります。
ペダルは、足を意味するラテン語が元になっています。明治の人も、ペダルを日本語にするのが、面倒くさくなったのでしょう。手を意味しているのは、マニュアルです。マニュアルは、手動とか手引き書などと、漢字表記でも使われています。昔は、学校や研究所などで、読んでも理解できないような漢字名が、専門用語として使われていたはずです。いまでは、専門語のカタカナ表記が増え続けています。
アルミ合金のペダルが、使われるようになりました。スポーツ用では、クリップを取り付け、ストラップで靴を固定します。それが、いつの間にか、簡単に靴を固定できるペダルと専用の靴が開発されたのです。どちらも、使えるようになるまでに、6時間くらいはかかりました。片足で踏み込んで、反対の足でペダルを引上げる操作を続けることになります。身体の力を、効率よくペダルに伝えられるのです。
プットインというか、靴底に取り付けてあるプレートをペダルの受け口部に、突っ込むようにして固定します。ペダルは最低位置まで押されて、つながっているギアを回転させるのです。今度は、当然ながら最高位置まで戻らなければなりません。戻る力も、大きくないけれど必要になります。ひざを支点にして足が回るのだから漕ぐというのがあたるのか、踏むという方がふさわしいのか判断し難いところです。

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